連載:介護

「介護という仕事は」

幸いにして落ち込みは一日で回復した。落ち込んだ翌日が仕事だったからだ。

介護という仕事は認知症のお年寄りの相手で、さぞや大変でしょうと言われがちだが、実は楽しい。

その日一日を上機嫌に、或いは平穏に過ごせればいいのだ。方法は簡単。相手の嫌がる事をしなければいい。

「薬ですよ」
「嫌だ、飲みたくない」
「分かりました」
少し間を開けて違う職員が行く。

立ち上がった。後をつける。
「どうしました」
「メガネを探してるの」
「一緒に探しましょう。」
メガネは一つ婆様のポケットに見えているが、それではないと言う。
「また後で探してみますね。それより私と一