帰って来た万城目ワールド

 万城目学の「ヒトコブラクダ層ぜっと(上、下)」を読了した。著者は、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞してデビューしたファンタジー小説作家で、「万城目ワールド」と呼ばれる奇想天外な作風で知られるが、最近はレパートリーを広げる努力をしている様に思われる。本書は久々の万城目ワールドであり、特殊な能力をもつ天地人の三兄弟が、イラクの砂漠で時空を超えた大活躍する姿を描いたファンタジーである。
 本書の主人公は、三つ子の榎土梵天、梵地、梵人(ぼんど)の三兄弟であるが、兄弟は三歳の時に自宅に落下してきた隕石のために両親を亡くし、三人で助け合って暮らしてきている。物語