春灯の光の輪の中温かく



  夕餉はにゅう麺 マグロの刺し身 卯の花


 紫に昏るる山肌白辛夷  野口香葉

 白山の風透き通る花辛夷  石谷清武

 雨上がり冴え冴え白く辛夷咲く  アロマ

 黄昏の色濃き空に辛夷浮く  笠原美雪

 ふるさとは遠き日のいろ辛夷咲く  平田安生

 杣ひとり入りゆく山の花辛夷  武井美代子

 高架傍辛夷白く満開に アロマ

 通学路蝶の如くに辛夷咲く  アロマ

 宿坊の錆びし庇に辛夷満つ  池森昭子

 山肌に光揉み合ふ花辛夷  野口香葉

 喝采の湧くごと風の辛夷かな  岡淑子

 花辛夷風まさらなる峡の朝  海輪久