連載:

平井堅「瞳をとじて」

友人が「今日は亡き夫の誕生日なんだ」と。
今夜は御写真の前で、お刺身と日本酒で語り合うそう。
何年、何十年たっても、大切な人を失った者にとっては、
癒える事のない悲しみ、寂しさがあります。

テレビで流れていく報道に、その時ショックを受けても、
多くの人は、すぐに、あるいは徐々に記憶から外れていく。
それだけ、次から次と、色んな事が起こるから。
全て鮮明に覚えていたら、頭も心も爆発してしまうかも。
忘れるというのは、生きていく中で必要な現象。
でも、時に思い出すと、胸が苦しくなる。
私も、親を含め、何人かの大事な人達との別れがあって、
フと思い出すと、色