連載:コロナ

「要らない人」

「ただいま!」
玄関前の大きな瓶に活けてある蠟梅&ネコヤナギに挨拶する。外は寒く花が全く衰えないばかりか、見る度に私をデレデレにする。

玄関に入る。真ん丸に太ったランチュウがデレデレを加速する。金魚の成長は早く、買った時の倍くらいになっている。

「リュウキン、寝てる場合じゃないよ。ほらほら起きて。」
はち切れそうなお腹を見せて底に逆立ちしている一匹を励ます。病気で死んでしまうのかと心配したが、餌をまくと普通に食べる。

いつもより言葉が続く。そうか、これなんだな。朝職場に着き、普段と何一つ変わらないお年寄りを見た時、安心感のようなほっとした気持ちにな