8  「蒲公英草紙」常野物語 恩田陸

タンポポを漢字で書くと、「蒲公英」と書くのだと知った。副題に、「常野物語」と添えているのも、柳田国男の「遠野物語」を連想させるためなのだろう。

簡単に言ってしまえば、「蒲公英草紙」は、予知能力のある人たちがいる、ということを紹介したような小説だった。山に住む人たちは、神域があるのか、神との交流もあるように語られることが多い。木を切り倒すときも、祈りをささげ、鹿やクマなどの狩猟のときも、豊猟を祈る。そしてまた、クマ祭りのように、神に捧げものをしたりする。平野部に住む人間には、理解し難い迷信めいたものが、山間部に生きる人達は持っている。

それが、古代社会