マニキュアの薄紅光る花の宴



 すぐそこの花に充ち足り夕仕度  十文字慶子

 花はいつ五百羅漢が耳談合  武井玲子

 西行の奥千本の花いまも  竹下陶子

 打仰ぐ峰よりこぼれつづく花  安原葉

 豆腐買う風のもてきし花のせて  平野きぬ子

 現し身を千年の花の前にせる  味村志津子

 ふり返るたび咲き進む花の景  稲畑汀子

 滝桜戦ぐに任せ午後の風  アロマ

 手相見の淡き灯花の路地  橘沙希

 花を見にゆふべの光あるうちに  大橋敦子

 剣豪のごと花を浴び花を踏み  小山徳夫

 コーヒーの出前花びらのせてくる  浅田浦蛙

 どこか