松尾芭蕉の弟子、蕉門十哲の一人とされる、野沢文兆。
彼は、金沢生まれの医者で、京都で過ごした。
文兆は、芭蕉に次の句の発句を何にしたらよいか、教えてほしいと、訊ねました。
「雪積む上の夜の雨」
芭蕉は、即座に、「下京や」と応えました。
ところが、文兆は納得できませんでした。
芭蕉は、不服の文兆に、この真意が理解できないなら
二度と質問するなと叱ったと言います。
芥川は、文兆の次の俳句を、特に気に入っていました。
① 物の音 ひとり倒るる 案山子かな
② 捨て船の 内外こほる 入江かな
③ 猪の 首の強さよ 花の春
④ 時雨るるや 黒