(日本経済新聞「がん社会を診る」・・東大特任教授・中川恵一「胃がんは 絶滅危惧種」’22年3/23　夕刊より)

今から27年前の阪神大震災の直後、胃潰瘍の患者が増えたという記録がある。当時は避難生活によるストレスが原因では ? と考えられたが(ピロリ菌の感染者にストレスが加わって胃潰瘍になることはあっても)単なるストレスだけで胃潰瘍が発症することは少ない。

胃がんに関しても、「ピロリ菌に感染すると胃がんになる」と思われがちだが、たとえピロリ菌に感染しても実際に胃がんを発症する確率は1%程度とみられる。ただ、このピロリ菌感染者が塩分を摂り過ぎると、胃の