噺家の江戸弁

 昔は貧乏人の代名詞だった噺家がテレビの普及で日の目を見るようになって久しい。しかも大卒で噺家になるという、ひところでは信じられないような親不孝者の噺家が増えてきた。まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、ひとつ気になるのが噺家の江戸弁。見事な江戸弁を話していたのは故立川談志師匠。立て板に水で、畳み掛ける江戸弁は見事で耳に心地よい。

 ところが多くの噺家の江戸弁はわざとらしく耳に慣れない。べらんめえの粋がない。「するってえとなにかい?じょうだんじゃあねえや、何を言ってやがる!ばかやろ!ってやんでえべらぼうめ」たったこれだけの江戸弁でも談志師匠と普通の噺