桜鯛仄と焦げ目の焼き加減 



 若鮎を跳ばして閉づる水輪かな  ことり

 若鮎の水引つ張つて遡る  山田佳乃

 繊月をめざし若鮎飛びにけり  升田ヤス子

 若鮎の早翻ること覚え  稲畑廣太郎

 一口にせし若鮎の焼加減  稲畑汀子

 杜若鮎やはらかく鯉を追ひ  大島翠木

 計画のはかどる一日木瓜の花  稲畑汀子

 ふと八十二歳が怖く木瓜の花  嶋田一歩

 何となく外出億劫木瓜の花  松尾緑富

 草木瓜の花をちこちや山の雨  高木千鶴子

 夕暮の庭の花木瓜ほの白く  亀岡睦子

 下宿から学校までに木瓜咲いて  アロマ

 睦み合ひ莟はぐくむ