無人駅降りれば風に花の塵



 風が寄せ波が寄せをり花の塵  平しげる

 花の塵張りつく車夜勤明け  下島千代子

 散り敷くや舞うのもありて花の塵  アロマ

 惜しまれて流れて行くや花の塵  小山香月

 ひるがへる僧の衣に花の塵  池田光子

 束の間のまばゆき日々や花の塵  赤星惠子

 掃きこゝちよく乾きたる花の塵  喜多村萬城

 花の塵中折れ帽の窪みにも  伊藤トキノ

 中空につむじとなれり花の塵  奥太雅

 放課後の校庭渦巻く花の塵 アロマ

 耕運機漉き込んでゆく花の塵  久世孝雄

 渦潮のごとく舞ひ散る花の塵  久世孝雄

 宙空を