連載:社長と檸檬

小説  社長と檸檬  (2)

 クリスマスソングが、スーパーの中に賑やかに流れている。
 一週間前から、いろいろな国からのシャンパンが木箱から出されて、並べられていた。その中に、有名な「ドンペリ」が真っ黒な瓶に金の封印をして、安いお値段のシャンパンの中に鎮座していた。

見る人は「ドンペリ~」といいながら、ため息をつき、横の2000円弱のシャンパンを買い求めていった。ドンペリ、12000円、これでもお安いほうのドンペリらしかった。


「大和田さんは、クリスマスどうされるの?」
孫さんがにっこりしながら話し掛けてきた。
「何も予定きまってないのよ。ひとりで過ごすしかないけれど」
笑顔