連載:社長と檸檬

小説  社長と檸檬(1) 


 檸檬15個、オレンジ2個、赤りんご3個、バナナ一房、大蒜一袋、そして米酢一瓶。

まあ、なんという取り合わせ、そう思いながら、私はレジのキーを打つ。 かごいっぱいの量のため、スーパーの大の袋2枚を押し込んで、レジの前に立つお客に差し出した。合計金額1876円。

 お客は新札の一万円札を出して、
「すみません」と一言小さく呟いた。
「いいえ」と笑みを浮かべてそれを受け取り、レジの中から釣銭8124円を取り出しレシートとともに彼の掌にのせた。

 レジの3メートルばかり右手で品物を棚に並べている役付きの社員がちらちらと、こちらを見る感じがする。ん?私の