艶やかな木の実繋いでネックレス



 愛宕山を下るじぐざぐ柚子の里  藤井久仁子

 テーブルに柚子一つある昼下り  板倉安正

 刺し身に垂らす柚子の香しく  アロマ

 柚子味噌の小鉢に似合ふおばんざい  佐用圭子

 鬼柚子を買ふや香味に好奇心  佐々木和子

 留守の庭俄に柚子の数増せり  鈴木石花

 柚子の坂昭和が匂ふ空の色  鴨下昭

 柚子皮をひとひら添へて故郷の味  野村鞆枝

 薄日をも返す柚子の黄無人駅  森清信子

 捥ぎて来し青柚たつぷり初秋刀魚  山口千代子

 夕里の柚子の実小さき灯のごとし  山岸明子

 柚子餡の最中頂き懐かしく