ロマノフ王朝の最期

 佐々木譲の「偽装同盟-ALLIANCE IN DISGUISE-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、歴史小説等、守備範囲は広く、最近は警察小説が多い。本書は、日露戦争でロシアが勝った世界を描く、歴史改変SF風警察小説であり、前作「抵抗都市」の続編である。
 物語の舞台は大正六年の東京であるが、本書では、日露戦争で敗れた日本帝國が名目上は独立と主権を守ったが、外交権と軍事権をロシア帝国に奪われ、事実上はロシアの保護国になっているという設定になっている。東京の主要な通りはロシア語に改められ、街にはキリル語の看板が溢れている。大正三年に第一次世界大