連載:蒼鷺

小説 蒼鷺(2)

デパートの一角を埋める創作花の製作に追われる毎日が続いた。
優子の事が気がかりであったが、企画書の作成や、素材のデザイン、調達など、時間はいくらでもほしい。

榮子が自分の時間さえもけずってそれに没頭している時、病院の優子から電話が入った。
「会いたいの」
優子が搾り出すような声で受話器の向こうであえいでいる。

「いいわ。一段落したら飛んで行くからね」
そう答えて受話器を置いた。心がざらついている。夜は約束があった。約束の時間を一時間遅らせても、優子の病室へ行かねばならない。追い込まれたような気分が榮子を包んだ。

優子の手術の日、榮子は病室に駆けつけ