連載:薩摩よみうり俳句

5月17日 火 薩摩よみうり文芸

5月17日 火 薩摩よみうり文芸

  大川畑光詳選

曲り屋の連子(れんじ)灯りや霧の花 鹿児島 上坪 満代
(評)桐は高さ10mにも及び、初夏になると淡紫色の筒状の五弁花が円錐状に多数咲く。昔は女児が生まれると庭に桐を植え、嫁入り道具の材にしたという。曲がり屋はL字型に曲がった平面を持つ、藁葺きの民家。格子を取り付けた母屋の連子窓から薄暗い座敷に光が差し込む。往時の農家の懐かしい風景。谷崎潤一郎が礼賛した陰影の美がある。

蓮鉢の水面に揺るる朧月       日置 賞雅 征子
月朧鼻へ抜けゆくフランス語     霧島 久永のり尾
アマリリス絣もんぺの