「谷崎潤一郎」の日記一覧

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飯能散歩 ― 能仁寺紅葉と「陰翳礼讃」 ―

谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」を読み終えてしばらくして友の誘いで飯能(埼玉県飯能市)の能仁寺に出かけた。 飯能市 ― 今ではムーミンのテーマパーク「メッツァ」で有名になったが中世以降木材の産地として栄え、殊に江戸時代はこの周辺で採れる杉、檜が「西川材」と呼ばれ火事の多い江戸に入間川、高麗川から荒川を通って送られ、多くの山林王が生まれた。中でも「鳥居観音」という寺を実業家でもあり政治家でもあった平…

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5月17日 火 薩摩よみうり文芸

5月17日 火 薩摩よみうり文芸   大川畑光詳選 曲り屋の連子(れんじ)灯りや霧の花 鹿児島 上坪 満代 (評)桐は高さ10mにも及び、初夏になると淡紫色の筒状の五弁花が円錐状に多数咲く。昔は女児が生まれると庭に桐を植え、嫁入り道具の材にしたという。曲がり屋はL字型に曲がった平面を持つ、藁葺きの民家。格子を取り付けた母屋の連子窓から薄暗い座敷に光が差し込む。往時の農家の懐かしい風景。谷崎潤…

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新春 読書日記 「デンジャラス」桐野夏生著

短歌総合雑誌「短歌研究」新春号に新春スペシャル鼎談「今大切にしたい言葉」掲載されている。 文芸家協会理事長林真理子さん、日本ペンクラブ会長桐野夏生さん、現代歌人協会理事長栗木京子さんのわが国を代表とする文芸と言論界の団体のリーダーのはなしを興味深く読んだ。 その中で、 谷崎潤一郎をテーマとした「デンジャラス」桐野夏生著 森鴎外の娘をテーマとした「類」朝井まかて著 紹介されており、図書館で借りて読…

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【読書】「沈黙のパレード」「科捜研の女」「マゾヒズム小説集」

(1)沈黙のパレード(東野圭吾・文春文庫)   東野圭吾の文庫版最新刊。ガリレオシリーズ第9作。40代になったガリレオこと湯川学は、アメリカ留学を経て帝都大物理学教授に、大学で同窓だった草薙も警視庁捜査一課の警部にそれぞれ昇進していた。ついでに言うとその部下の内海薫も巡査部長になっていた。静岡のゴミ屋敷の焼け跡から見つかった死体は、3年前東京で失踪した若い女性のものと判明。逮捕されたのは、23年…

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今週の故郷への通信

ノーベル賞候補にもなった文豪・谷崎潤一郎記念館を訪ねました。 入館料大人300円ですが65歳以上シニアは150円です。 芦屋公園の松林、芦屋川の桜、芦屋浜、芦屋市立美術博物館とセットにお薦めのハイキングコースです。 施設に入所している父がベッドから落ちて入院したと連絡が入りました。 「故郷への通信」は、能登に棲む高齢の両親と、恩師に毎週出しているものです♪もう20年以上になります。

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6、『鍵』(谷崎潤一郎著)は高齢夫婦の究極の性生活描く

『鍵』 谷崎潤一郎著 新潮文庫  昭和43年10月25日発行 ー谷崎潤一郎の小説は、「細雪」と「痴人の愛」は読んだが、「鍵」と「瘋癲老人日記」は読んでなかった。それで、「鍵」だけは読んだが、主人公の夫の方の日記は、カタカナで書かれていて、最初は読んでいたが、読み辛いので、後は、妻のひらがなで書かれていた方だけを読んだ。それでも、主人公夫婦の、性生活の実態はよく分かった。谷崎は、渡辺淳一よりも、先…

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143、『痴人の愛』(谷崎潤一郎著)はナオミとの新しい夫婦像描く

『痴人の愛』 谷崎潤一郎著 新潮文庫 昭和22年11月10日発行 ーこの小説は、瀬戸内寂聴などが、『痴人の愛』のモデルになった女性が、まだ生きていると言っていたのを読んでことで、読んでみようと思い、読んだが、そんなにも面白いとは思わなかった。ただ、15歳から関係した女性と、女性が23歳になるまで交流したのなら、現実では、こんな複雑な過程の関係になるだろうとは思わされた。 ー彼女はみんなから「直ち…

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谷崎潤一郎

「谷崎潤一郎 性慾と文学」(集英社新書)を読んだ。 谷崎潤一郎、高校のとき「細雪」を読み文豪と言われている作家であるというぐらいしか知らかった。  谷崎が書いた作品の背景をいろいろな資料から論じた 文学論だった。もっとも自分はタイトルの”性慾”という 文字に惹かれて読み始めたわけだが。 いろいろな作家が恋愛とか不倫とか書いているが、やはり そこにはそれなりの実体験がないと書けないものなんだろ…

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谷崎潤一郎ワールド

谷崎潤一郎の作品が好きなのですが、十余年ぶりに今までに読んでいない作品のひとつの『鍵』を読みました。 大学教授の主人公の男性と妻が、性の営みやその趣向を、おのおのが部屋に隠した日記に記入して、お互いが盗み読みをし、営みの趣向を探り、求め合うというストーリーである。 この小説は、お互いの日記に記入された文章を中心に話しが進む。 さらに、この夫婦の娘にその交際相手である主人公の後輩の大学教授も…

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谷崎潤一郎の「細雪」を読む

 長編である。昭和18年から5年の歳月をかけて完成した。   太平洋戦争、数年前の大阪船場の旧家、蒔岡家の美人4姉妹の物語である。  3女雪子の見合い話を中心に4女妙子の生き方も含め、次女幸子の目から見た姉妹の心理を丁寧に描いている。 谷崎の3番目の奥様、松子夫人も船場の4人姉妹で幸子のモデルと言われている。  蒔岡家の本家は、長女鶴子と結婚した銀行員辰夫で6人の子供がいて、大坂から東京へ引っ…