5月17日 火 薩摩よみうり文芸 大川畑光詳選 曲り屋の連子(れんじ)灯りや霧の花 鹿児島 上坪 満代 (評)桐は高さ10mにも及び、初夏になると淡紫色の筒状の五弁花が円錐状に多数咲く。昔は女児が生まれると庭に桐を植え、嫁入り道具の材にしたという。曲がり屋はL字型に曲がった平面を持つ、藁葺きの民家。格子を取り付けた母屋の連子窓から薄暗い座敷に光が差し込む。往時の農家の懐かしい風景。谷崎潤…
「谷崎潤一郎 性慾と文学」(集英社新書)を読んだ。 谷崎潤一郎、高校のとき「細雪」を読み文豪と言われている作家であるというぐらいしか知らかった。 谷崎が書いた作品の背景をいろいろな資料から論じた 文学論だった。もっとも自分はタイトルの”性慾”という 文字に惹かれて読み始めたわけだが。 いろいろな作家が恋愛とか不倫とか書いているが、やはり そこにはそれなりの実体験がないと書けないものなんだろ…
長編である。昭和18年から5年の歳月をかけて完成した。 太平洋戦争、数年前の大阪船場の旧家、蒔岡家の美人4姉妹の物語である。 3女雪子の見合い話を中心に4女妙子の生き方も含め、次女幸子の目から見た姉妹の心理を丁寧に描いている。 谷崎の3番目の奥様、松子夫人も船場の4人姉妹で幸子のモデルと言われている。 蒔岡家の本家は、長女鶴子と結婚した銀行員辰夫で6人の子供がいて、大坂から東京へ引っ…