松本佐保「アメリカを動かす宗教ナショナリズム」

 超巨大IT企業が隆盛する一方で、貧富の差は拡大。資本主義の権化のような印象のある現代アメリカだが、熱心なキリスト教国でもある。日本から見るとアメリカもイギリスも似たような西側諸国だが、イギリスは世俗化されているのに対し、アメリカは大統領選挙を大きく動かすほど宗教が人々の生活に入り込んでいる。本書は2020年の大統領選挙の時期に書かれており、トランプ陣営が宗教票、特に福音派を取り込み、その政策を実現している様子が詳細に書かれている。福音派はプロテスタントの一派で、聖書の教えを忠実に守ることを重視しており、進化論を否定し、神による天地創造を信じている。アメ