「旧皇族の宗家・伏見宮家に生まれて」を読む ❶第一章 幼少期

伏見博明氏は昭和7年、伏見宮博義王の第一王子として誕生した。父方の祖父は海軍元帥、軍令部総長を務めた伏見宮博恭王である。祖母は徳川慶喜の娘経子だ。父博義王は博明氏が6歳の時亡くなったので彼は祖父の手で育てられた。

皇族の男子は明治6年の太政官通達によって軍人となることが義務づけられていた。伏見宮家は海軍だった。先に述べた祖父は昭和10年当時東郷平八郎と並ぶ海軍「艦隊派」の巨頭だったのだ。博明氏は祖父と夕食は一緒だった。祖父からは、こうしちゃ駄目、ああしなさい、こうしなさい、と何かと細かく言われ、それが彼には窮屈だった。

博明氏にとって祖父との忘れられ