連載:シニア

「血の池地獄」

「そうだ、地獄の絵本頼まなくちゃ」 
パパはそう言ってスマホを操作し出した。

「ダメ!」
孫が泣き声で言う。これから寝るというゆったりした時間だった。


「今日はバアバ、アジサイ祭りやってるお寺に行く」
「いいなあ。ボクも行く」
朝、保育園に行くために玄関まで出たところだった。

「今日は保育園行こ。また別の日に連れてくね」
「あっ、そのお寺には地獄の絵があるよ」
婿殿が早速援護射撃を撃つ。

「血の池地獄もある?」
孫は何処でそんな言葉を知ったのだろう。
「あるある。血の池地獄も針の山もあるよ。○○クン、血の池地獄怖くない?」
「怖くないよ」