冬菜とる天地のぬくみ一身に 大中誉子
己が身に少し利き過ぎ唐辛子 猿渡啓子
真清水呑み若き己れに逢ふごとし 塘柊風
秋涼のしみじみ己が蕎麦枕 つじ加代子
水仙のしづけさをいまおのれとす 森澄雄
茶の花におのれ生れし日なりけり 久保田万太郎 流寓抄
いち抜けて長女が嫁ぐ春家族 鈴木鷹夫 春の門
ゆふべ鰯かこめば古代家族めき 楠本憲吉
バスタオル華やかに干し避暑家族 堀内雄之
彦根城入れて家族の初写真 安居 幸
揃ひたる家族九人の雑煮かな 稲畑汀子
遠き田にのびちぢみして鶴家族 上野さ