自分の老後はどうなるんだろう?              小説「じい散歩」 藤野千夜 著

 それなりに人生の成功者である明石新平の寂しい老後生活を淡々と描いただけの小説で、テーマも訴えもないみたいでつまらないと云えばつまらない小説だが、わが身に置き換えて身につまされた。

 新平は北関東の田舎町(村)に生まれ育った。すぐ下の妹さとえの同級生だった英子と兄弟姉妹のように過ごしたが、英子は11歳の時 両親を続けざまに失い、東京の郵便局に勤めていた歳の離れた ひい姉ちゃんに引き取られ、女学校へ行かせてもらい、郷里に戻って郵便局へ勤めた。

 英子の家も新平の家も農家だったが、新平の父は大工もしており、長男が跡を継いだ 英子の家の改築を父が引き受けた