これを耳で聞いたんだ。一気に読み終わった『一日10分のしあわせ』を閉じた時、思った。
「全世界で聴かれているNHK WORLD JAPANのラジオ番組で、17の言語に翻訳して朗読された作品の中から、人気作家8名の短編を収録」
どんな国の人達がどんな思いで聞いたのだろう。国は違えど人の求めるものは変わらないと、遠い日本という国を思いながら聞いたのだろうか。
どの短編にも悪人は登場しない。波乱万丈や浮ついた色恋や裏切りなどとは無縁の穏やかで哀しい世界。
人が暮らしていれば遭遇してしまう悲しみに打ちひしがれる事なく、実直に生きる人々。