早口言葉に「瓜売りが、瓜売りに来て、瓜売り残し、瓜売り帰る瓜売りの声」というのがあるが、 夏は自家製の瓜の浅漬けの季節だと固く信じている。 新鮮な白瓜をあっさりと漬物にしたのを味わうのは、夏の夕方の楽しみである。 ところが、最近、駅前のスーパーでは瓜が入手できなくなってしまった。 ちょっと離れた大きなスーパーに行ってもダメ。 「瓜ありませんか?」と売り場の人に訊いても「果物のマクワウリならあり…
冷奴薬味三皿をそろえけり 高畑太朗 ふるさとの富士の湧水冷奴 飯田節 花かつを生姜添へたる冷奴 二村蘭秋 どちらかと言へば木綿の冷奴 大島翠木 薬味かえ殖やす一品冷奴 中島英子 ひとりゐに風ふき抜くる冷奴 栗原公子 終電車昨日も今日も冷奴 吉井潤 過ぎし日より今が大事と冷奴 犬塚芳子 冷奴時には茸餡掛けで アロマ 冷奴薬味に七味唐辛子 濱野新…
ヨットハーバー閑として鳥渡る 鷹羽狩行 蒼天に飛行機海をヨット航く 栗山恵子 潮の色変りヨットの帆の傾ぐ 谷村祐治 日の入るやヨットに大き月の出て 出口貴美子 若さとは張りしヨットの帆の白さ 佐々木幸 シチリアの海開き待つヨット群 岡田房子 機上よりヨットの群の花のごと 天谷翔子 ヨット浮くさう言へばもうこんな時期 志方章子 青年と思へば娘ヨット舵手 …
太陽の色が溢るるプチトマト 米山喜久子 峰 トマト咲く想定外の黄色かな 坂上香菜 塩つけて食ふ海の日の青トマト 深澤鱶 湯上りや冷やしトマトに塩かけて 丑久保勲 赤いトマトジュース心臓に良い アロマ 一つ一つ日に照るトマト捥ぎにけり 大西まりゑ 楽しみは夫の植ゑたる茄子トマト 高倉恵美子 トマト缶開けて夕餉の冷スウプ 呉屋菜々 芽掻きして指に昔のトマ…
この列車この駅止まり夏の星 小倉喜郎 更科の闇あますなき夏の星 永田二三子 信濃路や連山包む夏の星 井上みち子 夏満月より滴りし星一つ 田中藤穂 もてなしは星と地酒と夏炉かな 松本胡桃 白雲の切れ目にしばし夏の星 藤井美晴 夏の星母に北斗七星教え アロマ 夏の星弾き合うかの流れ星 アロマ 夏の星恋つらぬきし末娘 松井洋子 夏の星盥の水にうつりけり …
8/4の土用の丑の日。近くに住む母も呼んで、皆で買ってきた鰻のかば焼きを使った鰻丼を食べた。 母は「鰻を蒸らすために10数えてから丼の蓋を取るのがコツよ。」と余り聞いたことの無いウンチクを披露してから、「宮島の鹿の角」と唱えた。 息子が「何それ?」と不思議がった。 「広島や山口では、10数える時に「だるまさんが転んだ」じゃなくて「みやじまのしかのつの」と言うんだ。」と私が解説する。…
雪渓を踏み太陽に真向へる 貞吉直子 目の前の大雪渓や土筆摘む 武井美代子 羅臼岳の雪渓登攀者胡麻粒めく 須賀遊子 咲きつなぐ初夏の旅路に触るる花 稲畑汀子 湧水を掬び晩夏の旅をはる 丹羽啓子 初夏の旅終へていつもの日々となる 稲畑汀子 連日の雷雨や秋の積乱雲 長崎桂子 浴衣着てふつとあの日のオムライス 辻響子 浴衣着て涼を楽しむ川の土手 アロマ …
遠雷やローズマリーの香の厨 升田ヤス子 鶏飯に引きとめらるる雷雨かな 小田嶋野笛 遠雷の湿生花園そよぎ出す 中村洋子 遠雷やバックミラーに救急車 米須あや子 裏返る犬の食器や梅雨の雷 那須淳男 燧岳より雷の連打や山毛欅林道 谷けい 夕立あと未練呟く雷もあり 林翔 雷鳴にメトロ目指して走る走る 大橋晄 父の日や一本じめの日雷 笠間圭子 カフェにて遠雷…
新涼やたしなまねども洋酒の香 中村汀女 便箋の余白大きく涼新た 鷹羽狩行 新涼の風吹き辺り心地良し アロマ 唐もろこしの実の入る頃の秋涼し 杉田久女 ぬかみそヘ漬けし生姜や秋涼し 鈴木真砂女 おもだかのなほ咲きつづき秋涼し 山口青邨 新涼やすこし反身に杖運ぶ 福井玲堂 新涼や「死んで貰う」と高倉健 楠本憲吉 宝石は見るだけのこと秋涼し 鈴木…