連載:二人旅

「年齢って何だろうと時々思う」国師ヶ岳

「やっぱりそうなりますよね」

上から降りてきた男性が声を掛けて来た。私は顔を上げられないが、声の感じでは同世代か。私は急な階段を両手も使い、四つん這いで登っていた。

上から目線がちょっと悔しい。
「昨日、大菩薩嶺に登ったんです。」
少しは称賛の言葉を掛けて来るかと思いきや、男性は言った。
「僕は今日○○に登ったんです」

二日連続登山より一日でニ山。男性は降りていき、後から来ていた夫婦連れらしき女性とも喋っている。

「朝の5時に?!」
男性は早朝から登っているのだ。この辺りの事情をよく知っているのだろう。

私達はもうちょっと遅かったら、引き返すと