青々と茂る樹より無花果を捥ぐ



 いつか止む残暑いつ已む疫禍かな  遠城健司

 残暑かな夜風が顔に心地よく 出口誠

 ネックレス手早く外す残暑かな 門伝史会

 荒川線残暑の街の甍かな 三沢蘭

 網棚に荷物と残暑押し上げて 三沢蘭

 午後長ける巷に残暑満ち満ちて  アロマ

 無花果の辺り故郷のごと暮るる 柴田佐知子

 青々と茂る樹より無花果を捥ぐ  アロマ

 故郷の無花果の甘さ懐かしく  アロマ

 無花果を彩よく煮上げワインの香  二宮きみ枝

 持て成しの無花果捥ぎて島の宿  岡田満喜子

 無花果の弾ける今を悦び