連載:薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり俳壇8月30日(火)

さつま読売文芸 8月30日
   俳句 大川畑光詳 選

鬼灯をどさと供えし地蔵堂   鹿児島 小倉 啓介

(評)鬼灯はその色と形から盂蘭盆では祖霊が迷わず帰って来られるよに提灯に見立てて仏壇や盆棚に吊るす。また、近畿地方で盛んな地蔵盆でも飾られる。揚げ句は後者のものだろうが、前垂れも新しく浄められた地蔵に鬼灯が「どさと」無造作に供えてあるところに野趣を感じたのである。

三年の尽きぬ話や盂蘭盆会   鹿児島  林 茂行
還暦や米寿の母に会ふ帰省   鹿児島 中村池塘子
年毎に記憶薄るる敗戦忌   薩摩川内 満永 泰寛
還らざる特攻