戦後の明智ワールド②

 江戸川乱歩の「明智小五郎事件簿-戦後編 Ⅱ-」を読了した。本書は、著者が生み出した名探偵明智小五郎が戦後に関わった事件を、その発生順に並べたコレクションであり、長編の「化人幻戯」と短編の「月と手袋」の二篇が収録されている。なお、明智小五郎が登場する戦後の作品は、主として少年探偵団物なので、本シリーズに全作品を収録している訳ではない。そのため、本書では未収録作品を補遺する目的で、それらの作品名を列挙したコラムが設けられている。
 「化人幻戯」:二十五歳の庄司武彦は探偵小説愛好家の文学青年であり、大学卒業後職に就いていなかったが、父親の紹介により、大河原