親孝行な娘の真実

 柚月裕子の「チョウセンアサガオの咲く夏」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、著者のデビュー以来、様々な媒体に収録された短編を集めた、ノンジャンルの短編集である。
 「チョウセンアサガオの咲く夏」:代理ミュンヒハウゼン症候群をモティーフとした掌編ミステリー。三津子は病気や怪我の多い手のかかる子供だったが、四十歳を過ぎた今は、結婚もせずに認知症になった老母の面倒を見て、周囲から褒められている。
 「泣き虫の鈴」:昭和初期の山形県と新潟県の県境の山村を舞台とした短編時代