君死にたまふことなかれ、最後まで

 昨日の日記に引用した、与謝野晶子「君死にたまふことなかれ」の第3段は、一種タブーに挑戦という衝撃的なものだが、そこで終わるのはなんとも中途半端なので、最後まで、このページに残そうと思う。

ああ、弟よ、戦ひに
君死にたまふことなかれ
過ぎにし秋を父君に
おくれたまへる母君は
なげきのなかに いたましく
我が子を召され 家を守り
安しと聞ける大御代も
母の白髪は 増さりゆく

のれんのかげに 伏して泣く
あえかにわかき 新妻を
君忘るるや 思へるや
十月(とつき)も添はで 別れたる
少女(おとめ)ごころを 思ひみよ
この世