幼き日戸口出れば霧立ち込めて



 玉虫飛ぶ山霧(じり)を透く日の金色に  磯崎兼久

 山霧のきれ間切れ間をちんぐるま  山本耀子

 山霧の降りて来さうな夕べかな  稲畑汀子

 ほととぎす鳴いて山霧うすれけり  藤田佑美子

 露天湯に浸り山霧にも浸る  永本純子

 山肌上る霧見て露天湯に  アロマ

 山霧と川霧の間鹿走る 大串章

 山霧に消えては現るるきすげの黄  伊藤多恵子 

 山霧や窓をかすめて岩つばめ 大栗須美子

 山霧を重ね重ねて隠れ里  大崎ナツミ

 夕霧の波止場フランス映画めく 峰尾秀之

 幼き日戸口出