連載:薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり文芸 俳句 25日(火

薩摩よみうり文芸 俳句 25日(火)
  俳句 大川畑光詳 選

鍬仕上げ捗りし日や十三夜 霧島 尾ノ上春風
( はかど)
(評)十三夜は陰暦九月十三日の月。中秋の名月に対して後(のち)の月という。
農家は収穫や播種に追われる時期だ。昼間の充実した畑仕事疲れに晩酌をしていると酔いが心地よくまわってくる。今夜は十三夜、縁側に枝豆や栗が供えてある。中秋の満月の華やかさはない。作者は冴えた月の光に深まる秋の寂しさを感じただろう。季語への展開に味わいがある。                 

鎮魂の一世抱きて生身魂       霧島 秋野 三歩