池井戸潤「オレたちバブル入行組」

 話は1988年、半沢直樹の銀行への就職から始まる。この頃はまだ銀行員というのは特別な存在で、銀行に就職すれば一生安泰と言われたそうだ。当時の銀行は護送船団方式と呼ばれる金融行政に保護され、銀行は潰れないという神話が生きていた。その後、バブルが崩壊し、銀行は多額の不良債権を抱え、都市銀行の北海道拓殖銀行が経営破綻。生き残りのため、多くの銀行が合併してリストラを断行。長引く低金利とフィンテックの台頭により、ビジネススキーム自体が揺らぐ業種となってしまった。銀行員はエリートであり収入も高いが、幸せな職場とは言い難い。評価は減点主義であり、とても顧客志向とは言