冬の蜃気楼

  朝、目覚めると寝室は冷え切っている。
師走に入った途端、容赦なく寒い日々が押し寄せている。
雪国で生まれ育った私でもこの寒さは身に堪える。
エアコンで暖房をして室内を暖める。

 それでも9時頃になるとベランダから冬の鋭い陽射しが一斉になだれこんでくる。
背の高い街路樹の楠もゆりの木も、すっかり葉を落としている。

 この時間帯になるまでは既に一日のルーティンが終わっている。
朝早く簡単に掃除をして、夫の遺影に線香を手向けて
その日の予定や心の内を語り掛ける。
それから自分のための食事を簡単に用意して食べる。

 今のところ