忘れられた本の墓場

 カルロス・ルイス・サフォンの「精霊たちの迷宮(上、下)」を読了した。著者はバルセロナ生まれのスペイン人小説家で、ロサンゼルスに在住した後、2020年6月にその地でなくなっている。本書は、「忘れられた本の墓場」シリーズ四部作の第四作完結編であり、シリーズを通しての謎が全て解き明かされる。
 物語は「センペーレと息子書店」の後継ぎのダニエル・センペーレとその妻のベアトリスとの間に男の子が生まれる場面から始まる。かつて作家志望であったダニエルは、生まれた息子に彼が敬愛する作家のフリアン・カラックスの名前を取り、フリアンと名付ける。
 1938年3月、内戦