報告 2023年01月16日(月)00:01 会員以外にも公開 中原中也の詩 春の宵溜 息幻 想 「春宵感懐」 雨が、あがって、風が吹く。 雲が、流れる、月かくす。みなさん、今夜は、春の宵(よい)。 なまあったかい、風が吹く。なんだか、深い、溜息(ためいき)が、 なんだかはるかな、幻想が、湧(わ)くけど、それは、掴(つか)めない。 誰にも、それは、語れない。誰にも、それは、語れない ことだけれども、それこそが、いのちだろうじゃないですか、 けれども、それは、示(あ)かせない……かくて、人間、ひとりびとり、 こころで感じて、顔見合(かおみあわ)せればにっこり笑う