連載:シニア

「花咲か爺さん」

「落ちましたね」
見ると絵馬が落ちている、3個も。

本殿の階段を降りたところだった。突風に煽られてカランコロンと絵馬が鳴っている。

「合格祈願だったらどうしよう」
見てしまった。一個は合格祈願、あと2個は家族の事やらコロナ退散だ。

「いい事しましたね」
「あっ、そう言われると嬉しいです」

そのまま境内にある神社2つにもお参りした。振り向くと爺様は白い紙を撒いた一升瓶をお御籤売り場に差しだしている。

こちらに歩いて来るので話し掛けた。
「奉納されたんですか」
「毎月1日にね、欠かさずやっているんです」
もう10年以