銀杏(ぎんなん)手習い (西條奈加 著 祥伝社 平成29年)

 嶋村夫妻の出戻り娘・萌 が師匠である手習指南所「銀杏堂」を舞台とする短編連作小説である。

 父 承仙は裕福な商家の次男坊であったが学問好きで幕府学問所に学び、母 美津は旗本の娘であったが、縁あって結ばれ、手習指南所を開いた。以来25年。萌は実子ではなく捨て子であったのだが、夫妻に拾われ 可愛がられて育てられ、御家人の家へ嫁に行ったが3年後、子が生まれないという理由で離縁された。

 父は気楽な人で、死ぬまでに昔の学問仲間に再会したいと旅に出た。それで、母が子どもたちの躾け係・萌が女師匠として手習指南所を引き継いでいくのである。

 第