名探偵最後の御挨拶

 江戸川乱歩の「明智小五郎事件簿-戦後編 Ⅳ-」を読了した。本書は、著者が生み出した名探偵明智小五郎が戦後に関わった事件を、その発生順に並べたコレクションであり、長編の「影男」と短編の「赤いカブトムシ」の二篇が収録されている。なお、第三巻までは未収録作品を補遺する目的で、それらの作品名を列挙したコラムが設けられていたが、本書ではそれらの作品名は前書きで列挙されている。
 「前書き」:1952年から1954年にかけて、怪人二十面相が活躍した作品名が列挙されている。
 「影男」:本書では三人の悪漢が登場する。本書の主人公は三十三歳の自称「影男」であるが、