連載:日常1

「銀行のATMに行列が出来ていた」

近くの銀行に向かった。夕方娘宅に向かう。久しぶりにお小遣いでも持って行くか。

ATMコーナーに人が沢山いる。行列に並んだ。先頭には爺様がいて女性と話しながら操作しているらしい。女性はどうも家族ではないようだ。

爺様はヨロヨロと後ろに向かい、初対面の私に小さなラミネート加工されたカードのようなものを見せた。

「初めてやるんだよ、今までは人に任せていたからね」
初め何を言っているのかよく分からなかった。見ると箇条書きにされたATMの使い方のようだ。

「用心して下さいよ。悪い人がいっぱいいますから」
私の前にいた歩行器に捕まる爺様も