「私のなかの囚人 ~教育学者の自立への旅~」 川口幸宏 著

 この著者は1943年(昭和18年)三重県の生まれで、父母は共に奈良県の家柄は良いけれど貧しい生まれ。

 父は職業軍人だったが、別に好戦的・軍人希望ではなく農林学校を卒業したのち、貧しさゆえに軍人以外の進路がなく、著者が生まれた時にも戦地にいて少尉にまで出世したが、1年後にわが子を見ることもなく戦死した。

 母は貧しさの中 女子師範学校を出て小学校教員(著者の生まれた頃は国民学校)になった。師範学校の寮生活当時、ズロースのゴム紐を買うお金もなく、ズロースにゴムのない状態を隠すのに苦労したという話からも貧しさが察せられる。

 私も地方国立