今日の午前中は久々の曇り空だった。それで何気なく中学か高校の頃、国語の教科書で覚えた中原中也の詩を思い出した。よく意味は分からないが、言葉の調べが美しい。
曇天
ある朝 僕は空の中に、黒い旗がはためくを見た。
はたはた それは はためいてゐたが、
音はきこえぬ 高きがゆゑに。
手繰り下ろさうと僕はしたが、綱もなければそれも叶(かな)はず、
旗は はたはた はためくばかり、
空の奥処(をくが)に舞ひ入る如く。
かかる朝(あした)を少年の日も、屡々(しばしば)見たりと僕は憶(おも)ふ。
かの時は そ