連載:映画日記

映画日記 小さき麦の花 リー・ルイジュン監督作品

京都シネマで鑑賞した。3月1日の割引ディだったこともあってかなり込み入っていた。

チラシにいう「奇跡と呼ばれた映画!」そこまで大げさではなかったが、新しい視点で描かれた中国農村の生活は、かつての新藤兼人の「裸の島」のような映画だった。

「互いに家族から厄介者払いされた二人の永遠の愛」でも、二人のあいだの会話がほとんどない。麦やトウモロコシ、じゃがいもなどの畑の畝をつくり、種をまき、収穫をする姿を原始的なかたちで淡々と描かれる。内気で無口なヨウテイエと障害持つ妻のクイインの間には、会話らしいものはないが、農作業や家づくりをとおしてこころの交流が