「わかれ縁(えにし)」 西條奈加 著 文芸春秋社

 最近、この作者が好きだ。この小説は「オール読物」に発表された、6っの短編の連作小説だ。一冊の本にまとまり一つの時代長編小説のようにもなっている。

 主人公は団扇作成の職人の娘・絵乃18歳で、錦絵屋の売り子をしていたが、よく来る・女にもてる客・富治郎20歳に求婚され、父は苦い顔をしたが結局は認めてくれた。ただし、同居は拒み、2年後に亡くなった。

 しかし、富治郎はどんな仕事も長続きしない遊び人で女を食い物にする男だった。浮気・借金で生活が破綻するが、それでも5年間我慢した。亭主の借金は妻も連帯責任。いよいよ風俗に売り飛ばされるか・死ぬしかない