講師生活奮戦記 VOL30 (1986年)

K高校水泳部のプールを使えない
冬場のトレーニングの一環として
器械体操が専門だった俺は
マット運動を教えていた。
今日は水泳部以外のクラブは
この体育館での練習はなく、
しーんと静まりかえっている。
ジャージ姿のS田が足を揃えて立ち、
真剣な表情で呼吸を整えて
精神集中している。
他の女子部員4人がじっと見守る。
俺はS田の横から腰に手のひらを
添えてバク転の補助の構えをする。
「ふうーっ、、、。」
静かに息を吐くとS田は一瞬
かがんだあと両腕を大きく振り上げて
後ろ向きに跳んだ。
俺は彼女の動きに合わせて
腰に手を