北方謙三 の 「絶海にあらず 上下」

★3.4 藤原純友の乱を純友の目で描く。

〈上巻〉
北家の傍流である藤原純友はやりたいことも見つからず京でぶらぶらと。初めての任官は伊予の掾で、介の下で治安を司る役目。伊予は郡司の越智一族が支配する地。藤原北家の忠平、良平兄弟は、価値の高い唐物商品の瀬戸内通過を保護し、米や一般の商品の都への流入を厳しく制限していた。純友は徐々に己の直接の部下を増やしていき、瀬戸内の商船流通の自由化に乗り出す。これまで越智郡の郡司が暗躍していたものを己の任としてしまった。そうすることで瀬戸内の島々の水師はもとより九州や五島の水師を手なずけ、己の配下に組み込んでいく