雨の日には、ナイフで、鉛筆を削ろう

 紀伊半島の南の田舎の漁村で、昭和29年に生まれ、育った私。同時代に育った子どもは、皆んな当然、鉛筆はナイフで削ったと思っていました。同棲中の5歳年上の彼女に尋ねてみると、ナイフで削った事はなく、今も削り器を使うとのこと。彼女は、都会生まれ、都会育ち。
 当時の私の回りの環境では、子どもだけでなく大人も、男性ならば、大抵は肥後の守という折りたたみのナイフを所持していました。細い枝や竹は、このナイフを使って加工し、紙や紐を切るといった日常の作業にも使いました。女の子も、ミッキーナイフという安全カミソリでできたナイフを、筆箱に入れて、学校に持って来ていまし