全身黄金色の錦鯉が透き通った水に泳いでいる。これを見たら忘れるはずがない。
「前も来たけどロープウェイに乗るのは初めてだよね」
ここに来て漸く口にするオカン。ロープウェイには乗った記憶がなかったが、もし乗った事を忘れていたら、それを息子に気取られたくない。
「初めてだよ」
乗り場までの階段が長い。
「こんな所で音を上げてたら、明日どうすんだ?」
乗り込むと信じられないくらい揺れた。乗ったのは私達を入れて5人だけ。45人乗りとある。二人いた制服姿の娘の一人が乗り込み、マイクを握った。動いている間は揺れなかった。
山頂は